革製品を長くお使いいただくうちに様々なトラブルに出会うことも。
少しでも良い状態を取り戻していただくためにお役に立てればと思い、革製品のトラブルシューティングをケース別にまとめてみました。
使い始めにしておくこと
革製品は、手にした時にはすでに乾燥していると言われています。
素材としての革ができあがってから製品化されるまでには、手作業の工程が多いためにどうしても時間がかかってしまいます。そこからお客様の手元に届くまでにもさらに時間が。
革製品のお手入れは汚れてから、ではなく実は使い始めこそ重要なのです。ビフォアケアともプレメンテとも言われる一番初めのお手入れをきちんとしておくことで、汚れが付きにくく美しい状態を維持できるのです。
1. ブラッシングと栄養補給
買ったばかりの新品であっても革ができあがってからすでにかなりの時間が経っています。ある程度乾燥した状態であると考えておいた方が良いでしょう。
まずはブラシでほこりをはらい、その後クリームでお手入れを。栄養補給だけでなく、クリームに含まれるきれいな油分が汚れの浸透を防ぐ効果もあります。
ブラシやクリームの使い方はこちらで詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。
2. 防水スプレーで汚れ予防
防水スプレーと聞くと雨用と思われがちですが、水分だけではなく汚れの付着を防ぐこともできますので使い始めにスプレーしておくと効果的です。薄い色のバッグなどは汚れがついてしまうと目立つので防水スプレーで保護しておきましょう。汚れやすい白いスニーカーなどにも有効ですので、幅広く使えるおすすめのケア方法です。
革にも安心して使えて高い防水性能を誇る【コロニル ウォーターストップ】がおすすめです。
3. 定期的にお手入れ
使い始めたら汚れやすいハンドルなどは1か月に1回程度、全体的なお手入れは3~4か月に1回程度を目安にお手入れをしておくと、長く良いコンディションを保つことができます。
汚れが気になるときはお手入れの前に【M.モウブレイ ステインクレンジングウォーター】で汚れを落としておきましょう。
4. 面倒な場合は
お手入れを簡単に済ませたい場合は、栄養補給と同時に防水効果も得られる【コロニル シュプリームプロテクトスプレー】がおすすめです。これ1本でビフォアケアから普段のお手入れまでカバーできるのでとてもお手軽です。
ただし、乾燥が気になる場合はやはりクリームでしっかり保湿・栄養補給をした方がより効果的です。
ここで使用するメンテナンス製品はこちら
雨や水に濡れた時は
最近はゲリラ豪雨も珍しくなくなり、短時間降られただけで靴もバッグも考えられないぐらいの水分を含んでしまうことも。
こんな時、慌ててドライヤーなどで乾燥させるのは厳禁。落ち着いて以下の通り対処しましょう。
コードバンが濡れた時の対処法はこちらをご覧ください。
1. すぐに拭く
濡れたまま放置するとシミになってしまうので、なるべく早くタオルや布などで水気を拭き取ります。
さっと水滴をはらい、こすらず軽くたたくようにして水分をタオルに吸収させるイメージです。
2. 風通しの良い場所で陰干し
型崩れしないようにバッグの中に新聞紙やタオルなどを詰めておき、風通しの良い日陰で十分に自然乾燥させます。色移りしやすい素材の上には置かないように気を付けましょう。
ヒーターやドライヤーなどで急激に乾燥させると革が収縮したり硬くなったりしてしまいますので絶対に避けてください。
また、生乾きのままクリームなどを塗るとシミになりやすいので、焦らずに乾くまで待ちましょう。
3. クリームで栄養補給
ここからは通常のレザーケアと同様。乾いたら革用のクリームで乾燥によって失われた栄養分を補給します。濡れた革が乾く際に革内部に含まれていた水分も一緒に抜けているので、まずは水分量の多い【M.モウブレイ リッチデリケートクリーム】を塗りクロスやブラシで馴染ませ水分を浸透させます。
その後、お好みのクリームで油分を補給します。そのままの風合いを活かしたい場合は【M.モウブレイ リッチデリケートクリーム】のみでも構いません。
光沢感のある艶を出したい場合は【M.モウブレイ クリームナチュラーレ】を、オイルレザーなどのしっとりとした質感を求めたい場合は【M.モウブレイ ビーズエイジングオイル】をおすすめします。すばやく薄く塗り伸ばしブラシで馴染ませます。
クリームの違いについて詳しくはこちらをご覧ください。
4. ブラッシング
クリームを馴染ませ革の肌理を整えるように馬毛ブラシで磨き上げます。これでクリームの栄養分をしっかりと革の繊維の中に浸透させていきます。
5. 防水スプレーで雨対策
季節によっては雨が長く続くこともゲリラ豪雨が頻発することもあるので、同じ目に合わないように【コロニル ウォーターストップ】などの防水スプレーで保護しておくと安心です。
屋外の風通しの良い場所でスプレーし、乾燥後はクロスで乾拭きしておきましょう。
ここで使用するメンテナンス製品はこちら
雨に強いバッグを選ぶのも選択肢
林五オンラインストアでは、雨の日にも使える強力な撥水性能を持つ特殊な革を使用したバッグもご用意しています。
構造上、完全防水とまではいきませんが「いかにも雨用」な見た目ではなく普段のビジネススタイルにも自然と溶け込み、いざという時には雨を弾く、とても頼もしい全天候型レザーバッグです。
カビが生えてしまった
雨に濡れたまま放置したり、湿度の高いところで長期間保管しているとカビが生えてしまうこともあります。雨の日に履いた革靴のソールにカビが生えてしまった経験がある方は多いのではないでしょうか。
そのまま放置するとカビが増え除去しても跡が残るなどさらに被害が拡大してしまうので早めに対処しましょう。
1. クリーナーで拭き取る
カビを吸い込まないようにマスクをして屋外で作業しましょう。
市販の塩素系カビ取り剤は効果が高い反面、あまりに強力すぎるために革の色も栄養分も落としダメージを与えてしまいます。また、アルコール系除菌スプレーも同様に革には不向きですので、皮革製品用に開発された【M.モウブレイ モールドクリーナー】をおすすめします。
クリーナーを布に適量とり付着したカビを拭き取ります。拭き取った布はすぐにビニール袋に入れて廃棄しましょう。このクリーナーにはカビの除去に加えカビを予防する効果もありますので、拭き取ったあとに全体にスプレーしておきましょう。
黒カビなどにより革に残ったシミは落ちないこともあります。気づいたら早めのケアを。
2. 1週間ほど自然乾燥
風通しの良い日陰で1週間ほど自然乾燥します。乾燥させている間に2~3日おきにさらにスプレーをしておけばより防カビ効果を期待できます。
3. 保管時にもスプレーを
梅雨の季節や冬の結露など外的要因を解決するのは難しいので、革製品を長期間あるいは湿度の高い季節に保管しておく場合は、できるだけカビを寄せ付けないように対策しておきましょう。
カビの栄養となるほこりや汚れは馬毛ブラシでしっかりと落としておきます。お手入れに使うクリームが残った状態もカビに栄養を与えてしまうので、ブラッシングや乾拭きは特に念入りにしておきましょう。
保管前には【M.モウブレイ モールドクリーナー】を全体にスプレーしカビ予防を。乾燥したらビニール袋ではなく通気性のある不織布などに入れて保管しておきます。鞄以外にも革靴はもちろん、湿気がこもりやすい下駄箱に使用しておくのもおすすめです。
ここで使用するメンテナンス製品はこちら
革が乾燥している時は
人間のお肌と同じく、革も乾燥が大敵。乾燥したまま放置してしまうとひび割れたりして元に戻せなくなってしまいます。表面がカサカサしていると感じたら相当乾燥が進行している状態です。お肌のお手入れと同じように栄養補給をしてあげましょう。
1. ブラッシング
基本的なお手入れと手順は同じ。まずはブラッシングでほこりをはらいます。
2. まずは水分補給を
その後クリームで栄養分を補給しますが、乾燥した革にはまず特に水分量の多い【M.モウブレイ リッチデリケートクリーム】を使用します。すばやく少量塗ったあとクロスやブラシで馴染ませ水分を浸透させます。乾燥がひどい場合は一度に大量に塗らず、この作業をもう一度繰り返します。
乾燥した革にいきなり油分の多いクリームを塗ると、油分を吸収した革が水分の浸透を妨げてしまうため、水分が十分に補給できなくなります。また、乾燥している状態ではクリームを吸いやすくなっておりムラになる可能性もあるので、まずは目立たないところで試しましょう。
【M.モウブレイ デリケートスプレー】なら、広い面積にまんべんなく栄養分をスプレーできシミやムラのリスクも少ないので、大きめのバッグやヌメ革などデリケートな素材にはこちらのほうが使い勝手が良くおすすめです。
3. 油分も補給
革には水分とともに適度な油分も必要です。油分補給に使うクリームは仕上げかたや素材に応じてお好みでお選びください。 艶が出る仕上がりがお好みなら天然のワックス成分を含んだ【M.モウブレイ クリームナチュラーレ】が、オイルレザーのオイルが抜けてしまった状態ならしっとりとした質感と防水性を回復できる【M.モウブレイ ビーズエイジングオイル】がおすすめです。乾燥した革は吸収が良く若干色が濃くなる場合ありますので、目立たないところで試してから全体に使用します。 クリームの選びかたについて詳しくはこちらもご覧ください。
4. ブラッシングで仕上げ
クリームを薄く塗り伸ばしたら馬毛ブラシを使ってブラッシング。これで革の肌理を整えクリームの栄養分をしっかりと革の繊維の中に浸透させていきます。クロスで磨き上げるころには乾燥していた表面も自然な艶が出てしっとりしていることでしょう。
ここで使用するメンテナンス製品はこちら
色が剥げた箇所を補色したい
トートバッグのコーナーなどはどうしてもダメージを受けやすい箇所。少しぐらいの摩擦では色落ちなどしないようにしっかりと染色されていますが、傷などで色が剥げてしまうこともあります。
こういった場合は傷の部分に補色して修復をします。
1. 汚れ落とし
まずは馬毛ブラシで汚れやほこりを落としておきます。補色の妨げになるので汚れがひどい場合には【M.モウブレイ ステインクレンジングウォーター】を使用し汚れを落とします。
2. クリームで着色
革用の着色クリーム【M.モウブレイ レザーコンシーラー】が色付きも良く曲げ伸ばしにも強いのでこの用途には最適です。 必ず目立たないところで試し色が合うか確認してください。色が濃い場合は【M.モウブレイ リッチデリケートクリーム】を少量ずつ混ぜて調整することも可能です。 色味に問題なければ少量クロスや指にとり薄く塗り伸ばします。一度に大量に塗ると、油絵のように色を上から重ねた感じになってしまいますのでできるだけ薄く塗ることがポイントです。補色が足りなければ乾燥後に薄く塗り重ねていきます。10分程度で乾燥しますので、塗りすぎた場合などはクリーナーなどで素早く拭き取りましょう。 一晩ほど乾燥させておけば色が定着し、摩擦などでも色落ちしにくくなります。色が定着すると完全に落とすことはできませんので、確認しながら少しずつ作業することをおすすめします。
3. 乾燥後にクリームで仕上げ
完全に乾いたら【M.モウブレイ リッチデリケートクリーム】や【コロニル シュプリームクリームデラックス】などのクリームを塗りブラッシング。 仕上げにクロスで乾拭きして、自然な艶を出すとともに色馴染みを良くしておきましょう。
ここで使用するメンテナンス製品はこちら
より美しくより長くお使いいただくために。
革は耐久性に優れた実用的な天然素材。お手入れをしながらうまく付き合うと、とても長い間お使いいただくことができます。
美しく経年変化を深めていくことでさらに愛着も増すことでしょう。
お手入れについてこちらの記事もあわせてご覧ください。