旅する「エンボスコードバン」
その希少性や、採掘にも似た独特の工程から「革のダイヤモンド」とも言われるコードバン。
オールデンなどに代表される革靴、それに革小物に使われることが多く、経年変化によって色艶が深まり他の素材にはない雰囲気を醸し出すため、世界中に愛好家がいる高級皮革素材としても知られています。
コードバンとは
一般的に馬のお尻の皮と言われていますが、これはほぼ正解ですが少し補足が必要です。
厳密に言うと、農耕馬の臀部の厚い皮から、その中に存在する厚さ僅か2mm程度の「コードバン層」と呼ばれるコラーゲン繊維の層を削り出したもの、これが「コードバン」なのです。
希少なコードバン層だけを丁寧に削り出す様子はまさにダイヤモンドの発掘作業を連想させ、「革のダイヤモンド」と言われる所以がここにあります。
削り出しているため革の表面「銀面」はなく、繊維構造も独特でブラシのように緻密な繊維が縦に林立しているような構造です。これがコードバンに奥行きのある艶を与えている要因とされています。
鞣された後、グレージングと言われる作業で繊維を寝かしつけることにより、きめ細かく滑らかな表面と美しい光沢を纏います。
KUBERA9981で使用しているコードバンは、馬革専門タンナー「新喜皮革」の伝統的なピット槽を用いた植物タンニン鞣しコードバンを、世界屈指の染色技術を持つ「レーデルオガワ」が門外不出のアニリン染めで仕上げた、こだわりの詰まった素材です。
1. コードバンの魅力
いくつかありますが、深く美しい光沢をコードバンの一番の魅力として挙げる方が多いのではないでしょうか。存在感のある特有の経年変化や、靴であれば皺の入り方など細かなところまで、質感と言う部分では他の素材にはない魅力を味わう事ができます。
2. コードバンのお手入れ
ブラッシングや乾拭きで美しい状態を保つことができます。艶が落ちてきたり乾燥が気になりだしたら、こちらを参考に栄養補給と艶出しを。
より良いエイジングのためには定期的なお手入れは欠かせません。
3. コードバンの弱点
美しいコードバンにも弱点があるのは事実です。特に傷と水に弱いのは革好きには定説となっているほど。
ですが、その独特の繊維構造のおかげで少しぐらいの傷も「ブク」と言われる水膨れも、ある程度は復元することも可能なのです。
コードバンのトラブルシューティングについてはこちらで紹介していますので、ぜひご覧ください。
コードバンをもっと身近に
色艶美しく、使うほどにエイジングも愉しめる素材ですが、取扱いが神経質になってしまい結局使わなくなると、せっかくの魅力も半減してしまいます。
KUBERA9981では、繊細な型押しを施すことでこの希少な極上素材に傷を気にせず普段使いできるという新しい価値を付加しました。
これは、「旅する人の金庫」を標榜するKUBERA9981にはとても相性の良い素材。旅先などでも神経質にならずに気軽に持ち歩け、常に美しい素材感と経年変化を愉しむことができます。
世界に誇れる極上素材だからこそ、もっと身近に、カジュアルに、その価値を感じていただきたいのです。
型押しコードバン誕生のストーリーはこちらから。
型押しにより繊維がより詰まった印象。爪で擦った程度ではキズ付かないほど丈夫に生まれ変わりました。気軽に普段使いする時の心理的なハードルが一気に下がります。
繊細な模様の型押しは80年代によく使われたという上品でオーセンティックなもの。美しく光を反射する様子はまさに革のダイヤモンド。
水に濡れた場合、性質上どうしても水膨れは避けられませんが、型押しによるプレス効果で通常のコードバンに比べ繊維がより圧縮されているため若干耐性は高く、早めに対処してしまえば目立ちません。水膨れができてしまった場合の修復について詳しくはこちらをご覧ください。