革好きを虜にする「茶芯」のエイジング

革好きを虜にする「茶芯」のエイジング

革製品の良さや楽しみの一つとして、他の素材に無い経年変化を挙げられる方は多いのではないでしょうか。
革における経年変化とは、長く使うことによって味わうことのできる表情の移り変わり。長く使える製品でなければその変化を知ることができないため、経年変化を楽しめるということは、良い革製品を手にした方の、言わば特権のようなもの。
なかでも独特でわかりやすい変化を来すという茶芯の革は、アメカジファンや革好きから経年変化を楽しむための素材として熱く支持されています。
その魅力を改めて掘り下げてみました。

「茶芯」とは

茶芯と呼ばれる革は、一般的には茶色に染めた革の表面を黒など別の色で着色したものとされています。
その特徴は、摩擦や経年により表面の黒色が擦り落ち下地の茶色が現れる、独特のエイジングです。
また、ホーウィン社の代表的なオイルドレザー「クロムエクセル」の一部カラーなど、表面のみを染色する「丘染め」という染色方法で仕上げられた革も同様に下地の茶色が現れる変化が生じることから、これらも茶芯と呼ばれることがあります。

茶芯特有の経年変化は言ってみれば色剥げや褪色の一種ではありますが、ブーツや革ジャンといったアイテム、また、古き良きカルチャーを大切にするアメカジやアメトラといったスタイルとの相性が良く、傷や色褪せさえもオーナーが革製品とともに歩んだ歴史を表現するものであり、あえて補色せずそのままの状態で使い込むと二つと同じものが無い、唯一無二のオリジナルへと変化していく様子がたまらなく魅力的なのです。

茶芯レザーの歴史

茶芯の革は意図して生み出されたものではなく、1990年代の日本で生まれた概念であると言われています。80年代後半から90年代にかけて流行したアメカジスタイルを代表するブーツブランド「RED WING」のエンジニアブーツに端を発し、好事家たちが「茶色に変化していく黒い革」にこれまでにない価値を見出したとされています。
アメカジブームと時を同じくして「ヴィンテージ」という言葉も市民権を得ることになります。デニムを筆頭に、その希少性から古くても価値が高いものに改めて注目が集まり、新しい製品にはあまり見られなくなった茶芯もその中で発見された新しい概念と言えるでしょう。
日本のユーザーの声に応える形で茶芯レザーの製品を復刻したりするなど、本家のアメリカに「逆輸入」されるという現象も起こり、茶芯人気は決定的なものとなります。
現在、古着やヴィンテージの第二次ブームから古い物を大切にしたり、そこに価値を見出すという新しいモノ選びの基準が定着し、茶芯レザーもまた注目を集める素材となっています。

茶芯レザーを使用した革製品

ワークブーツやエンジニアブーツなど、アメリカ発祥のブーツは茶芯「発見」のきっかけとなったこともあり、多くの人が思い浮かべる茶芯アイテムかもしれません。 SNSでも世界中から発信された、オーナーそれぞれの歴史が刻まれた味わい深いエイジングを見ることができるでしょう。
ライダースジャケットやフライトジャケットなどの革ジャンも茶芯のヴィンテージ品が多く見られ、中でも茶芯のホースハイド(馬革)の製品などは根強い人気を誇ります。

茶芯レザーを使用した鞄や財布

当店では茶芯レザーを用いたバッグや財布もご用意しています。
FIVE WOODS 「BALLARAT」シリーズでは、伝統的なピット槽を用いたタンニン鞣しでじっくりとタンニンを浸透させた堅牢な馬革をベースに、茶色に染色したのち黒の顔料で表面を着色した独自の茶芯ホースハイドを使用。使うほどに茶芯特有の経年変化を味わうことができます。
また、アメリカHORWEEN社のクロムエクセルを使用した財布もラインナップ。ブラックは表面のみを染めた「茶芯のブラック」で、おそろいの素材のブーツなどにあわせてエイジングを愉しむことも可能です。

経年変化こそ茶芯の醍醐味

革の種類や使い方によって経年変化の仕方はそれぞれ異なり、それがまた面白いところ。
茶芯はすぐには現れませんが、長く使っていくうちに風格ある味わい深い表情へと移り変わっていきます。この唯一無二の変化こそ茶芯の醍醐味であり、「侘び寂び」と表現する人もいるほどです。
ぜひお気に入りの茶芯レザーアイテムを、長く大切に使い自分だけのオリジナルを育ててみてはいかがでしょうか。