PLATEAUコレクションを支える革の物語

FIVE WOODSの理想とする究極のレザー。
PLATEAUコレクションを支える革の物語。

FIVEWOODSのラインナップの中でも、ベーシックなカジュアルバッグを展開する「PLATEAU」。
デイリーなデザインを基調としているだけあり、革本来の魅力をダイレクトに味わっていただくことを指標に掲げています。
そんな同シリーズの命ともいえるべきオイルドレザー。革ならではの経年変化が楽しめながら、雨やキズに強くて色落ちしないという、デザイナー・丸山健一が惚れ込んだオリジナルのレザーが落とし込まれています。
理想の革を使うことで、永くユーザーの日常に寄り添うバッグへと仕上がるのです。
ただ、タフでありながら上質な手触りも両立しつつ、水と油のような関係にある前述の機能性をどう併せ持ったのか?このレザーが生まれるきっかけとなったのは、丸山がある革を手に取った2015年にまで遡ります。

「PLATEAU」を語るうえで外せない“革の物語”をお届けします。

既存の革をアップデートしたい。
オリジナルレザーの開発に着手。

バッグブランドが革を選定する際、パートナーとなるのが皮革問屋。タンナーの特性を見極め、バッグ一つひとつに適した革を提供するレザーのスペシャリストです。
その中でも「PLATEAU」のレザーを共同で開発したのが、東京の下町をベースとする1923年創業の老舗「富田興業」。同社が過去に作り上げた“サウザー”という革を、丸山が手にすることから始まります。
「しなやかで堅牢度はあるものの、より厚みを持たせ、使いこむほど色艶に深みが出るようにしたい。そして雨水に強くて色落ちを防ぎたい」とリクエスト。
ここから「PLATEAU」で使用するレザーの開発がスタートしました。理想像に近づけるのではなく、そのままを具体化するには突出した職人技術を持つ工場に依頼しなければいけません。

林五と富田興業がレザー作りをオーダーしたのは、古くから革の産地で知られている兵庫県たつの市の中嶋皮革工業所。
この地域は揖保川と林田川という河川に挟まれ、革を鞣す作業に欠かせない地下水の宝庫。それに加えて60余年に渡って高品質なレザーを生み出し、国内だけでなく海外のクライアントをも魅了する高い技術力を持っているタンナーです。

革の経年を楽しみながら色落ちを防ぐ
PLATEAUの礎となる至高のレザーが誕生。

およそ30以上という気の遠くなるような工程を経て、一枚の原皮から素材としてのレザーに。
その一つひとつの過程すべてに、職人の手仕事が添えられています。

一年を通じて安定したクオリティを供給するため、春夏秋冬の中で気温や湿気に合わせて革を完成させます。
ドラムを使った鞣し、スプレーマシンによる染色などは、決まったレシピはあるものの、最終的な仕上げは職人が培った経験と勘。コンディションに左右されず、常に上質なレザーが生産されています。
「PLATEAU」のオリジナルレザーは“ショートクロム鞣し”を採用。
“ウェットブルー”と呼ばれるクロム鞣しを施した後の湿潤な状態の革に、植物タンニンを用いて二次加工。特殊なコンビネーションによる技法によって、クロム鞣しならではの耐久性、植物タンニンらしい風合いが見事に兼備されています。

そして「PLATEAU」のレザーにおいて、最大の魅力でもある風合いと耐水性を与えるのが加脂という工程です。
より多くの樹脂を一度に塗布するべく、まるでカーテンのように溶剤が流れるコーターマシンを中嶋皮革工業所が独自にカスタマイズ。通常に比べて何倍もの油剤を革に染み込ませることに成功しました。
しなやかな質感が際立つと同時に、バッグに成形する際に自立するほどタフな質感になるのです。

その後、中嶋皮革工業所独自の目止め加工によって革を滑らかに仕上げ、溶剤の塗布とアイロンによるプレスを繰り返して施します。
少しずつ化粧をまとったレザーは、輝きを放つ艶感、男心をくすぐる厚みがあり、もちろん使うほどに馴染んで柔らかくなります。

透明度を出す加工を“アニリン仕上げ”と呼ぶのですが、これではどうしても色落ちしてしまいます。
「色落ちしないアニリン仕上げのレザーを作って欲しいと言われたときは本当に驚きましたよ」と、笑って話す中嶋皮革工業所の工場長・香田勝也さんをはじめ、数々の職人が一革入魂の想いで生み出された「PLATEAU」のオリジナルレザー。
トライ&エラーを繰り返し、誰もが納得する至高の革が完成しました。

出来上がった革は縫製職人の元へと運ばれ、ようやく一つのバッグが仕上がります。
厚手のタフなレザーは毎日のハードな使用にも何事もなく応えてくれ、時間を経過するとともに質感がよりソフトに。例え引っ搔き傷が付いたとしても、擦れば馴染んで目立たなくほどの堅牢性を誇っています。
また、ハンドルやボディといったよく手に触れる部分は、より深みのある色艶へとエイジング。まさに使う者の人柄を映し出すように、オンリーワンのバッグへと進化するバッグは、一生を付き合っていける相棒になってくれます。
原革からスタートした物語はここで終わりを迎えるわけではありません。
デザイナーや職人の想いを紡いだバッグは、ユーザーの手に渡ってからがストーリーの始まりです。

写真は、富田興業の森田正明さんが3年ほど使用したWEEKEND TOTE。美しいフォルムをしっかりとキープしながら、革ならではのクタッとした表情に。そしてシボ模様とともに艶感が出ているのも特徴的。「傷が付きにくくて雨に濡れても安心。お手入れフリーで使いやすいのが嬉しいですね」と、オンオフ問わずにこのバッグを持ち歩いているそうです。
芯材を取り除いたハンドルは肩の形状に変化し、優しくフィットして肩からずり落ちることがありません。「革を擦ると『キュッキュッ』と鳴くんですが、これは使っている素材が上質な証拠。
レザー好きを惹きつけて止まないバッグです」と森田さん。